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その胃もたれは薬と食材のせい?75歳以上の約4割が直面する多剤服用の注意点

75歳以上の約4割が5種類以上の薬を飲む中、降圧剤と海藻などの組み合わせによる胃もたれが注目されています。お薬手帳を1冊にまとめ、かかりつけ薬剤師に相談することが大切です。

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日常的に胃の不快感や重い胃もたれに悩まされていませんか。「年齢のせいだから仕方がない」「消化の良い健康的な和食を食べているから大丈夫」と考えている方も多いかもしれません。しかし、国の調査によると、75歳以上の約4割が5種類以上の処方薬を服用しており、普段何気なく口にしている健康食材と常用薬の組み合わせが、思わぬ体調不良を引き起こしている実態が浮かび上がってきました。体に良かれと思って続けている習慣が、実は胃腸に負担をかけているメカニズムと、その対策について詳しく見ていきましょう。

数字で見るシニアの服薬実態:75歳以上における多剤服用の現状

加齢に伴って複数の慢性疾患を抱えるようになると、受診する診療科が増え、処方される薬の数も自然と多くなりがちです。厚生労働省がまとめた「高齢者の医薬品適正使用の指針」によると、シニア世代における処方薬の多剤併用、いわゆる「ポリファーマシー」が深刻な課題となっています。

75歳以上における処方薬の多剤服用(ポリファーマシー)状況
5種類以上の処方薬を服用5種類以上の処方薬を服用 該当者の割合: 4割4割5種類以上の処方薬を服用5種類以上の処方薬を服用 該当者の割合: 4割4割

出典: 厚生労働省「高齢者の医薬品適正使用の指針」

表で見る
該当者の割合
5種類以上の処方薬を服用4割

統計が示す通り、75歳以上のシニア層では、約4割もの方々が日常的に5種類以上の処方薬を服用しています。薬の数が5種類以上に増えると、薬同士の相互作用や重複処方が生じやすくなるだけでなく、日常の食事やサプリメントとの間で予期せぬ不調を引き起こすリスクが高まることが指摘されています。

良かれと思った海藻と降圧剤:胃腸機能低下のメカニズム

シニア読者の間で関心を集めているのが、情報サイト「介護ポストセブン」が2026年10月31日に配信した専門医の解説です。この記事では、高血圧治療のために日常的に服用されている降圧剤と、健康食材として知られる海藻類との意外な関係が取り上げられました。

血圧を下げるために広く処方されているカルシウム拮抗薬などの降圧剤は、血管を広げる効果を持っていますが、同時に消化管の筋肉を緩める働きも持ち合わせています。これにより、胃腸の蠕動運動が穏やかになり、胃の中に入った食べ物を腸へと送り出す排出機能が低下することがあります。

そこへ、「血圧や腸内環境に良いから」と、食物繊維が豊富に含まれる海藻類を過剰に摂取するとどうなるでしょうか。過剰な食物繊維は消化に長時間を要するため、運動が低下した胃の中に長くとどまり続けることになります。その結果、消化不良を招き、重い胃もたれや胃痛、膨満感といった不快な症状を引き起こす原因となってしまうのです。

「健康に良い食品だからたくさん食べても問題ない」という安心感が、処方薬の作用と重なることで、かえって胃腸に大きな負担をかけてしまう落とし穴となっています。

複数の受診とサプリメント併用が見落としを生む背景

なぜ、こうした薬と食材の相互作用は見過ごされてしまうのでしょうか。その背景には、現代の医療体制と個人の服薬管理における構造的な課題があります。

内科で血圧の薬をもらい、整形外科で痛み止めをもらい、眼科や皮膚科でも薬を受け取るなど、複数の医療機関に別々に通院している場合、それぞれの医師が他の病院で出されているすべての薬や日常の食生活を完全に把握することは困難です。

さらに、健康維持のために自己判断で市販のサプリメントや特定の健康食品を集中的に摂取している場合、医師や薬剤師にその事実を伝えていないケースが少なくありません。胃がもたれるからといって自己判断で市販の胃腸薬を買い足して服用してしまうと、さらに薬の種類が増え、原因の特定がますます難しくなるという悪循環に陥ってしまいます。

項目 主な要因と背景 身体への影響と注意点
処方薬(降圧剤など) カルシウム拮抗薬などの日常的な服用 血管だけでなく消化管の平滑筋を緩め、胃の排出機能を低下させる
食習慣(海藻類など) 健康維持を意識した過剰な食物繊維摂取 胃腸機能が落ちた状態で停滞時間が長くなり、重い胃もたれを招く
服薬状況(多剤併用) 75歳以上の約4割が直面する5種類以上の処方 複数医院からの処方やサプリメントの併用により相互作用が見落とされる
相談・管理体制 お薬手帳の分散や薬局の不統一 窓口を一元化しないことで重複や副作用の発見が遅れやすくなる

米国の先進事例:電子カルテによる「ビアーズ基準」の自動警告

高齢者の多剤併用問題に対して、欧米でも先進的な対策が進められています。特に米国では、米国老年医学会が定めた「ビアーズ基準(Beers Criteria)」が医療現場に広く浸透しています。

ビアーズ基準とは、シニア世代に対して慎重な投与が求められる医薬品や、併用によって相互作用のリスクが高まる薬剤の組み合わせを体系的にリスト化した指針です。

米国の医療機関では、この基準を電子カルテシステムに組み込み、医師が処方を入力した段階で危険な組み合わせや過剰投与があれば、システムが自動的に警告を発する仕組みが標準化されています。また、問診の際に医師や看護師が日常的に摂取しているサプリメントや食事内容を細かく聞き取り、システム上で薬と健康食品の重複や健康被害を未然に防止する運用が定着しています。

日本での解決策:お薬手帳の1冊化とかかりつけ薬剤師への相談

日本においても、厚生労働省や日本老年医学会が中心となり、ポリファーマシー対策と医薬品の適正使用に向けた取り組みが進められています。シニア世代が自分自身の健康と胃腸を守るために、今すぐ実践できる具体的な対策は次の通りです。

1. お薬手帳を必ず「1冊」にまとめる

複数の病院や薬局に通っていると、手帳が複数に分かれてしまうことがあります。お薬手帳を1冊に集約して常に携帯し、どの医療機関や薬局を受診する際にも必ず提示することで、医療従事者が全体の処方内容を一目で確認できるようになります。

2. 処方箋を出す薬局を絞り「かかりつけ薬剤師」を持つ

調剤してもらう薬局を一つに定め、信頼できる「かかりつけ薬剤師」を決めることが推奨されます。かかりつけ薬剤師は、処方薬の履歴を一元的に管理するだけでなく、市販薬や健康食品、サプリメントの飲み合わせについても専門的な見地からチェックしてくれます。

3. 食習慣やサプリメントについて薬局窓口で相談する

胃もたれなどの不調があるときは、薬局の窓口で「普段どのような食材を多く食べているか」「毎日飲んでいるサプリメントはあるか」を具体的に伝えて相談してください。カルシウム拮抗薬を飲んでいるシニアが過度な海藻摂取を控えるなど、食習慣のバランスを少し見直すだけで、不快な症状が大幅に改善することがあります。

なお、不調を感じた場合でも、自己判断で勝手に降圧剤などの処方薬を中断したり減らしたりすることは血圧の急変動を招き非常に危険です。必ず医師や薬剤師に相談しながら進めることが肝要です。

日常生活で確認したい服薬と食事のチェックリスト

日頃の体調管理と安全な服薬のために、ご自身やご家族の状況を定期的に点検してみましょう。

  • ☐ 現在処方されている医療用の薬が5種類以上になっていないか
  • ☐ お薬手帳が複数の冊子に分かれず、きちんと1冊にまとまっているか
  • ☐ 処方箋を持っていく薬局を一つに絞り、かかりつけ薬剤師に相談できているか
  • ☐ 常用している降圧剤などの薬がある中で、海藻類などの特定食材を過剰に摂りすぎていないか
  • ☐ 通院先とは別の場所で購入した市販薬やサプリメントの名称を医師・薬剤師に伝えているか
  • ☐ 胃もたれや消化不良が続く際、自己判断で胃腸薬を買い足す前に専門家へ相談しているか

食事と薬の相互作用について正しい知識を持ち、専門家と連携しながら日々の生活を見直すことが、胃腸に負担をかけず健やかに過ごすための第一歩となります。

この記事の統計数値は、介護ポストセブン(2026年10月31日配信記事)および厚生労働省「高齢者の医薬品適正使用の指針」の公表データに基づいています(2026年11月3日現在)。お薬の服用内容の変更や体調に関する判断については、必ず主治医やかかりつけ薬剤師にご相談ください。

参考資料

  • 介護ポストセブン「その胃もたれ、海藻や降圧剤のせいかも?専門医が教える薬と食材の相互作用」(2026年10月31日配信) https://www.kaigo-postseven.com/
  • 厚生労働省「高齢者の医薬品適正使用の指針(総論編・各論編)」 https://www.mhlw.go.jp/

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