シニアニュース 午後

75歳以上の免許保持者は743万人。維持費と安全から考える「愛車じまい」と返納の手続き

75歳以上の免許保有者が約743万人に達する一方、年間約26万人が自主返納を選んでいます。年間約40万円から50万円かかる維持費の負担や安全面を見つめ直し、納得して愛車を手放すための支援制度や心構えを解説します。

75歳以上の免許保持者は743万人。維持費と安全から考える「愛車じまい」と返納の手続き
イメージ写真(記事の当事者ではありません) — Andrea Piacquadio / Pexels License
放送を見る

長年連れ添った自家用車をいつ手放し、どのタイミングで運転から引退するべきか、悩まれる方は少なくありません。警察庁の統計によると、75歳以上の運転免許保有者数は約743万人にのぼり、多くの方が高齢期の移動手段と安全のバランスに向き合っています。

近年、SNSなどでは家族が乗り継いできた思い出の詰まった車へ感謝を込めて別れを告げる「愛車じまい」が共感を呼んでいます。1998年に亡くなった父親が新車で購入し、他界後に息子が引き継いで28年間大切に維持した車を手放す決断のように、車は単なる道具ではなく人生の記憶そのものであることも少なくありません。しかし、安全面への懸念や経済的な負担を考慮し、前向きにハンドルを置く選択肢を検討する家庭が増えています。

数字で見る:免許保有者の現状と年間にかかる維持費

高齢ドライバーを取り巻く状況について、警察庁交通局が公表している統計データをもとに確認してみましょう。

75歳以上の免許保有者数と年間の自主返納者数
75歳以上免許保有者75歳以上免許保有者 人数: 743万人743万人年間自主返納者年間自主返納者 人数: 26万人26万人75歳以上免許保有者75歳以上免許保有者 人数: 743万人743万人年間自主返納者年間自主返納者 人数: 26万人26万人

出典: 警察庁交通局「運転免許統計(令和5年版/2023年公表)」

表で見る
人数
75歳以上免許保有者743万人
年間自主返納者26万人

統計によれば、75歳以上の免許保有者約743万人に対して、免許を自主的に返納している人は年間約26万人で推移しています。自主返納という選択は着実に定着しつつあるものの、保有者全体から見ればなお多くの方が運転を続けている現状がうかがえます。

返納や車の整理を考える大きなきっかけの一つが、車を維持するためにかかる費用です。普通乗用車を維持する場合、車検費用、自動車保険、各種税金などを合計すると、年間で約40万円から50万円の支出が発生すると試算されています。

項目 内容・目安
75歳以上の免許保有者数 約743万人
年間の免許自主返納者数 約26万人
普通乗用車の年間維持費 約40万円〜50万円(車検・保険・税金等を含む)

運転頻度が減っているにもかかわらず、年間40万円から50万円に及ぶ固定費を払い続けることは、家計防衛の観点からも大きな負担となります。安全への配慮だけでなく、家計を見直す実利的な理由からも愛車の整理を検討する価値があります。

なぜ「愛車じまい」に踏み切れないのか:心理的葛藤と移動の不安

頭では「そろそろ潮時かもしれない」「維持費がもったいない」と理解していても、いざ車を手放すとなると決断を先延ばしにしてしまう傾向があります。その背景には、大きく二つの理由があります。

第一に、長年愛用してきた車に対する愛着や名残惜しさです。家族旅行の思い出や通勤の日々を支えてくれた車は、人生の相棒のような存在です。突然「危険だから手放して」と家族から迫られると、喪失感を覚えて強く反発してしまうことがあります。1998年式の車を28年間乗り継いで感謝とともに見送った事例のように、家族で車の思い出を共有し、感謝の儀礼として「愛車じまい」を捉え直す姿勢が助けになります。

第二に、車を手放したあとの移動手段に対する現実的な不安です。通院や日々の買い物など、生活の足を失うことへの懸念が返納を躊躇させます。この不安を解消するためには、返納する前に代替となる移動手段や支援策をあらかじめ調べておくことが不可欠です。

日本での解決策:運転経歴証明書と各種の支援制度

日本国内では、運転免許を返納した後の生活をサポートする仕組みや、愛車を円滑に整理するための民間サービスが整えられています。

運転経歴証明書の申請と優待特典

各都道府県の警察署や運転免許センターで免許返納の手続きを行う際、「運転経歴証明書」の交付を申請できます。これは公的な身分証明書として利用できるだけでなく、提示することで以下のような特典を受けることができます。

  • 路線バスやタクシー料金の割引
  • 提携する商業施設や飲食店での割引・優待サービス
  • 金融機関での定期預金金利の優遇

地域によって協力機関や優待内容は異なりますが、タクシーやバスの割引を活用することで、年間約40万円から50万円かかっていた車の維持費の一部を日々の移動費に賢く振り替えることが可能です。

愛車の査定と廃車代行の活用

長年大切にしてきた車を手放す際は、処分を急ぐのではなく、適切な査定を受けることが納得感につながります。査定業者による「シニア向け出張買取査定」を利用すれば、店舗に車を持ち込む負担なく自宅で査定を受けられます。また、自走が難しい古い車両や引き取りが難しい場合でも、廃車手続きを代行してくれる専門の支援サービスが存在します。

海外の先進事例:イギリスの自主的な引退支援と保存文化

高齢ドライバーの運転引退に関する課題は、日本以外の先進国でも共通のテーマとなっています。

イギリスでは、70歳を迎えると3年ごとに運転適性の自己申告を行うことが義務付けられています。行政機関であるDVLA(運転免許庁)では、高齢者が円滑にハンドルを置けるよう、自主的な運転引退プログラム「Mobility Advice Service」を展開し、運転引退後の移動手段や生活設計に関する助言を行っています。

さらにイギリスでは、長年大切に乗り継がれたクラシックカーなどの車両について、保存信託制度を活用して家族の歴史遺産として保管したり、次世代へ非課税で譲渡・寄付したりできる文化的な仕組みが定着しています。車を単に「廃車」にするのではなく、価値ある資産として次代へ引き継ぐ道が用意されている点も、愛車の引退を前向きに捉える助けとなっています。

納得してハンドルを置くための家族のチェックリスト

愛車の整理や運転免許の返納について、ご自身や家族で話し合う際は以下の項目を一つずつ確認してみることをお勧めします。

  • ☐ 普通乗用車に年間約40万円〜50万円かかっている維持費と実際の利用頻度を計算したか
  • ☐ 車検や税金の更新時期が近づいていないか(費用の切れ目を意識する)
  • ☐ 地域の運転免許センターや警察署での「運転経歴証明書」の申請手順を確認したか
  • ☐ 自治体や地元交通機関で、バス・タクシー等の返納者割引制度を調べたか
  • ☐ 手放す愛車の出張買取査定や廃車代行サービスについて情報を集めたか
  • ☐ 車と過ごした家族の思い出を振り返り、感謝を伝える時間を持てたか

愛車に「今までありがとう」と告げてハンドルを置くことは、決して生活の後退ではなく、安心で安全なこれからの暮らしに向けた前向きな節目となります。

この記事で紹介した保有者数および返納者数は警察庁交通局『運転免許統計(令和5年版/2023年公表)』に基づいています。最新の優待内容や手続きの詳細は、お近くの警察署や運転免許センターの窓口にご確認ください。

参考資料

  • 警察庁交通局「運転免許統計(令和5年版/2023年公表)」 https://www.npa.go.jp/
  • ENCOUNT「父が新車で買って3年でがんで他界 受け継いだ息子、28年を迎えて感謝の決断「じゃあな。父さん」」(2026年11月4日付) https://encount.press/

この回のほかのニュース

6本中1本目
  1. 75歳以上の免許保持者は743万人。維持費と安全から考える「愛車じまい」と返納の手続き
  2. 長寿のカギは心拍数にあり?心臓を守る1日20〜30分のニコニコ歩き
  3. スマホ版マイナンバーカードの普及と安全管理:保有率84.5%の中で知っておきたい活用法
  4. 欧州7カ国のスーパーでサイバー攻撃 冷凍備蓄依存のリスクと72時間の備え
  5. 地方移住で直面する「田舎の時刻表」の現実|シニアの約3割が悩む移動手段の確保策
  6. 「ちいかわ」コラボが若者を惹きつける理由とは?お孫さんとの対話が弾むヒント
次のニュース → 長寿のカギは心拍数にあり?心臓を守る1日20〜30分のニコニコ歩き

関連キーワード運転免許返納愛車じまい高齢ドライバー運転経歴証明書

あわせて見たい姉妹サイト

おすすめ商品

【PR】この枠には広告(アフィリエイトリンク)が含まれます。

アフィリエイト商品の枠

一覧に戻る