脳梗塞の初期サインを見逃さないために。国内患者174万人の現実と「FAST」原則
国内の脳卒中患者数は推計約174万人に上ります。若年発症のニュースでも注目された前兆のサインを見逃さず、迅速に119番通報するための国際的合言葉「FAST」と初期対応の要点を整理しました。
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「脳梗塞は高齢者だけの病気」と思っていませんか。厚生労働省の調査によると、国内の脳卒中総患者数は約174万人に達しています。患者の多くは65歳以上のシニア層ですが、若年層でも突然発症するケースがあり、誰にとっても決して他人事ではありません。
発症前のわずかな異変や前兆に気づけるかどうかが、後遺症の有無やその後の生活を大きく左右します。突然の事態に直面したとき、命と生活を守るために知っておくべき知識をまとめました。
数字で見る:国内患者174万人、気温差で高まる発症リスク
厚生労働省の「患者調査(2023年)」によると、日本国内における脳卒中の総患者数は約174万人に上ります。
脳卒中の多くを占める脳梗塞は、脳の血管が詰まって血流が途絶え、脳細胞が壊死してしまう病気です。患者の大半はシニア世代ですが、若年層で発症する事例も報告されています。
特にこれからの季節のように寒暖差が大きくなる秋から冬にかけては、急激な気温低下による血管の収縮や血圧の急変動が引き金となり、発症リスクが一段と高まります。
「少し休めば治る」という油断が招く手遅れ
脳梗塞が起きる直前には、前兆となるサインが現れることがあります。ステージ上で突然ろれつが回らなくなったり、耳鳴りや声のかすれ、足のもつれによって転倒したりといった症状がその一例です。
注意が必要なのは、「一過性脳虚血発作(TIA)」と呼ばれる現象です。一時的に血管が詰まりかけて手足のしびれや言葉の出にくさが生じても、短時間で血流が再開し、症状が消えてしまうことがあります。
そのため、「少し疲れただけだろう」「横になって休めば大丈夫」と病院に行かずに様子見をしてしまうケースが少なくありません。しかし、その数時間から数日後に血管が完全に閉塞し、深刻な麻痺や言語障害が残ってしまう危険性があります。
早期発見の国際基準「F.A.S.T.(ファスト)」とは
脳梗塞の疑いがあるかどうかを誰でも素早く見分ける合言葉として、日本脳卒中協会などが推奨しているのが「F.A.S.T.(ファスト)」原則です。
| 頭文字 | チェック項目 | 具体的な確認方法 |
|---|---|---|
| F(Face / 顔) | 顔の麻痺・ゆがみ | 「いー」と歯を見せて笑ったとき、片方の口角が下がらないか |
| A(Arm / 腕) | 腕の脱力・しびれ | 両腕を前に手のひらを上にして伸ばしたとき、片腕が下がってこないか |
| S(Speech / 言葉) | 呂律のもつれ・言葉の障害 | 短い文を話したとき、ろれつが回らない、言葉が出ない、理解できない状態がないか |
| T(Time / 時間) | 発症時刻の確認と迅速な通報 | 異変に気づいたら発症時刻を確認し、迷わず直ちに119番通報する |
このうち1つでも当てはまる症状があれば、脳梗塞を強く疑う必要があります。
脳の血管を詰まらせた血栓を溶かす薬物治療(t-PA治療)には、発症から「4.5時間以内」という厳格なタイムリミットがあります。自家用車やタクシーの手配を待つのではなく、直ちに救急車を呼ぶことが、t-PA治療やカテーテルによる血栓回収療法を行える専門医療機関へ最短で搬送されるための鉄則です。
海外での取り組み:社会全体で共有される「Act F.A.S.T.」
英国や米国では、脳梗塞の初期対応を社会全体で徹底する仕組みづくりが進められています。
英国の国民保健サービス(NHS)や米国心臓協会(AHA)では、「Act F.A.S.T.」運動をテレビCMや駅、バスなどの公共交通機関で大規模に展開してきました。本人だけでなく、周囲にいる家族や同僚、通行人が異変に気づいて即座に通報できるように啓発を繰り返した結果、発症から専門病院への到着時間が短縮され、患者の回復率向上につながっています。
異変に気づいたときの行動チェックリスト
突然の異変に遭遇した際は、次の手順に沿って落ち着いて行動してください。
- ☐ 顔の動きを確認する(笑顔を作ってもらい、左右差や口角の歪みがないか)
- ☐ 腕の力を確認する(両腕を前に水平に突き出し、片方だけ自然と下がらないか)
- ☐ 会話の状態を確認する(普段通りに話せるか、ろれつが回っているか)
- ☐ 症状が出始めた正確な「時刻」を時計で確認してメモする
- ☐ 症状が一つでもあれば、様子見をせず直ちに119番通報を行う
- ☐ 救急隊に「発症した時刻」と「どのような症状が出たか」を正確に伝える
この記事の統計数値は厚生労働省『患者調査(2023年)』に基づいています。個別の症状や持病に関する判断は、必ず医師や救急医療機関にご相談ください。
参考資料
- ほ・とせなNEWS「22歳アイドルがステージ上で脳梗塞…⇒医者『動く見込みはありません』宣告からの驚きの現在」(2026年11月2日配信)
- 厚生労働省「患者調査(2023年)」 https://www.mhlw.go.jp/
- 公益社団法人 日本脳卒中協会 http://www.jsa-web.org/
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