介護現場の夜間オンコール負担と職員25万人不足の実態、家族が知るべき備え
介護職員が約25万人不足するなか、夜間オンコールによる精神的・身体的負担が離職に拍車をかけています。現場の現状と在宅介護で家族が備えるべき夜間の見守り網を整理しました。
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「いつ電話が鳴るか分からず、夜も熟睡できない」という介護現場の切実な声が注目を集めています。厚生労働省の推計によると、団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となった現在、全国で約25万人の介護職員が不足しています。人手不足が深刻化するなか、夜間の緊急電話対応(オンコール)が看護師や介護職員の心身を追い詰め、離職の連鎖を招く要因となっています。この問題は現場の職員だけでなく、在宅で家族を介護する私たち自身の暮らしや安心にも深く関わっています。
数字で見る:深刻化する介護人材不足と現場の負担
厚生労働省がまとめた「第8期介護保険事業計画に基づく介護職員必要数推計」では、高齢化の進展に伴う人材需給のギャップが示されています。
| 項目 | 状況・推計値 |
|---|---|
| 全国での介護職員不足数 | 約25万人 |
| 主な夜間負担要因 | 利用者の容態急変・転倒事故への緊急電話対応(オンコール) |
| 影響 | 精神的・肉体的負担の増大、離職率の高止まり、新規採用難 |
夜間に利用者の容態変化や転倒事故が発生した際、少数のオンコール担当者に重い責任と拘束時間が集中しています。公益財団法人介護労働安定センターの「介護労働実態調査」などでも指摘されている通り、過酷な労働環境が職員の定着を難しくしています。
なぜ夜間オンコールが大きな負担になるのか
夜間オンコールは、勤務時間外であっても緊急連絡が入れば対応や駆けつけを行わなければならない仕組みです。
- 心身が休まらない拘束感:自宅待機中でも「いつ鳴るか分からない」と感じる職員があり、睡眠不足や精神的疲労を訴える例が報告されています。
- 重い責任の集中:夜間は限られた人数で判断を迫られる場面があり、特定の職員に大きな負担がかかることが指摘されています。
- 善意への依存:突発的事態への対応が職員の責任感に依存しているとの指摘があり、組織的な支援体制が十分でない場合もあると報告されています。
こうした過度な負担が離職率の高止まりを招き、残された職員の負担がさらに増えるという悪循環が生じています。
日本での解決に向けた動きと在宅介護の備え
国内の介護現場では、見守りセンサーやバイタル自動測定機器といった介護ICTの導入補助金を活用し、職員の心理的・肉体的負担を軽減する取り組みが進められています。
一方で、在宅で親や配偶者を介護しているご家庭にとっても、夜間の急変対応は大きな不安要素です。家族だけで抱え込まず、次のような体制をあらかじめ整えておくことが推奨されています。
- 24時間対応の訪問看護ステーションの確保:ケアマネジャーや地域包括支援センターに相談し、夜間でも医療的アドバイスや駆けつけが受けられる訪問看護と契約しておく。
- 緊急ショートステイの事前枠の確保:家族の体調不良や介護疲れ、急な容態悪化に備え、緊急受け入れが可能な施設をリストアップしておく。
- 見守り機器や緊急通報サービスの導入:自治体の福祉用具補助金や高齢者見守り支援策を活用し、夜間の異常を検知できるセンサー等を導入する。
海外の先進事例:オランダ「ビュートゾルフ」の分散型モデル
夜間の負担軽減において、世界的に注目されているのがオランダの訪問看護組織「ビュートゾルフ」の仕組みです。
ビュートゾルフでは、最大12人の自律型小規模チームが地域ネットワークと連携して活動しています。夜間のオンコール対応を特定の個人に固定せず、チーム内で公平に分散するルールを確立しています。さらに、最新のデジタルカルテを通じて利用者の健康状態をリアルタイムに共有することで、誰が対応しても的確な処置が行える環境を整えています。これにより、職員の過重な負担を排除し、高い職員定着率と手厚いケア品質を両立させています。
夜間の急変に備える家族のチェックリスト
家族介護を破綻させず、孤立を防ぐために、あらかじめ次の点を確認しておきましょう。
- ☐ 担当ケアマネジャーに夜間の連絡体制・緊急時の手順を確認しているか
- ☐ 24時間対応が可能な訪問看護ステーションと連携できているか
- ☐ 急な宿泊が必要になった際の緊急ショートステイ先が把握できているか
- ☐ 自治体の見守りセンサーや緊急通報システムの助成制度を調べているか
- ☐ 夜間の異変時に、家族間や親族で役割を分担する話し合いができているか
この記事の数字は、厚生労働省「第8期介護保険事業計画に基づく介護職員必要数推計(2024年)」および介護ポストセブン(2026年11月4日配信記事)の情報に基づいています。介護保険サービスやICT機器の助成内容は自治体ごとに異なるため、お近くの地域包括支援センターや市区町村窓口へご相談ください。
参考資料
- 介護ポストセブン「《深刻な介護の人材不足》『看護師を悩ませる夜間オンコール』『採用率を上げるには?』現場の職員たちが明かしたリアルな実情」(2026年11月4日配信)
- 厚生労働省「第8期介護保険事業計画に基づく介護職員必要数推計(2024年)」
- 公益財団法人介護労働安定センター「介護労働実態調査」
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